2014年06月26日
手紙が届くのに

星が降る
そんな時代がありました
いちどだけ
空から便りが届いたのです
遠い星からのとてもシンプルな手紙です
地球にいた頃はしあわせでした
たったそれだけでした
しあわせな星から
すぐに手紙を書きました
けれども
そのひとの星を探すうちに
おもわぬ歳月を費やしてしまいました
流星群が飛びかう夜は
せわしく宇宙の手紙が配達されるのでしょう
ときには
たった1通の手紙が届くのに
幾億光年もの時がたってしまうのでした
ですから私はまだ
そのひとに会ったことがありません
2014年06月26日
味そうなもの

まず、「挨拶語」を思い付くだけ挙げてみよ、という課題を提示した。起床してから家を出るまでの間を思い起こすだけでも、「おはよう」「いただきます」「ごちそうさま」「行ってきます」「行ってらっしゃい」と、これくらいはすぐに思い浮かぶと思うのだが、多くの子たちは、3つ挙げたところで頭を抱えたのだという。マネージャー曰く、「頭を抱えたいのはこっちですわ」。
しかし、それ以上に吃驚したのは次の話である。「ポジティブ語」を、これもできるだけ多く挙げてみよ、と指示した。「明るい」「楽しい」「面白い」「朗らか」「好き」「わくわく」「最高」「期待」「希望」「夢」「愛」等々、これならいくつでも思い付くことだろう。ところが、なのである。確かに数は挙がるのだが、3割くらいの子たちが申し合わせたかのように同じ単語を挙げた。それは何かというと……。
「ヤバい」。
「ヤバい」はいつからポジティブ語になったのかと、そのマネージャーの方は一瞬天を仰いだという。聞いた私も絶句しつつ、そう言えば以前、社員旅行に行ったとき、新卒の女子、しかも難関の国立大を出た子が、土産物屋の通りを2m進むごとに「ヤバーい!」と絶叫していたのを思い出した。美味そうなものを見ても、可愛いゆるキャラを見ても、全部「ヤバーい!」なのである。